Thursday, October 28, 2004

LIV-th stone: 天使の梯子

先日、本屋に立ち寄ったら、村山由佳さんの新作である小説「天使の梯子」を見つけ、その場で買ってしまった。このタイトルを聞いて、彼女のファンであれば、必ず思い浮かべるタイトルがあるだろう。そう、「天使の卵」だ。

私は彼女の小説に出てくる女性が好きだ。彼女の描く女性は、私がかわいいと思う女性像をもっている、少しか弱くて、芯(心)は強くて、がんばり屋で、純粋で、ナイーブで、寂しがり屋で。そして、なにより全体的に透き通っていて、非常に柔らかい印象があるのだ。また彼女の小説で好きなのは、すべてが真っ直ぐで純粋で、怖いくらいに心の柔らかいヒダの部分が描かれていることだ。本当に直球で、文学っぽくないといえば聞こえは悪いが、非常に引き込まれやすくて、登場人物の心が手に取るように解るのだ。彼女の小説を読むとき、本当に恋愛しているような気分に陥るときさえあるのだ。

この「天使の梯子」は「天使の卵」の世界の10年後を描いた物語である。「天使の卵」の主人公は、新人精神科医である春妃とその担当患者の息子である高校生の歩太である。そして「天使の梯子」の主人公は春妃の8つ下の妹であり、歩太と同級生である、夏姫。と彼女が数年前に高校の教師をしていた時の教え子、慎である。「天使の卵」の時に止まったままであった、春妃の、歩太の、夏姫の時計が、夏姫が慎と再会し、夏姫が慎を心から愛せるようになったことによって、3人の心が解放され、彼らの心の中の時計が進んでいくのだ。「天使の卵」はこの「天使の梯子」をもって完成したといっても過言ではないように思う。この先、歩太も夏姫も自分自身の道をあゆんでいくのだろう。

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