Wednesday, November 02, 2005

LXXVI-th stone: Renaissance

今、私は図書館の片隅で一冊の文庫を手にしている。
そう、それはこのblogのタイトルに直接影響を与えた本

塩野七生著「ローマ人の物語 I-(1)」

である。特に理由はないが、図書館での勉強の合間の気分転換にふと手にしたのが
この本だった。その前書きを読み返していて、やはり鳥肌がたった。
このさき、とんでもなくすごい物語の始まりを感じさせないで入られないような文章だ。

「知力では、ギリシア人に劣り、
 体力では、ケルト人やゲルマン人の人々に劣り、
 技術力では、エトルリア人に劣り、
 経済力では、カルタゴ人に劣るのが、
 われわれローマ人である。
 と、少ない史料が示すようにローマ人たち自らが認めていた。
 それなのに、なぜローマ人だけが、あれほどの大を成すことができたのか。
 一大文明圏を築き上げ、それを長期にわたって維持する事ができたのか。
 <途中省略>
 これらの疑問への解答を私は急ぎたくない。人々の営々たる努力の積み重ね
 でもある歴史に対して、手軽に答えを出したのでは失礼になる。
 また、私自身からして、まだはっきりとはわかっていないのである。
 史実が述べられるにつれて、私も考えるがあなたも考えてほしい。
 「なぜ、ローマ人だけが」と。
 
 それでは今から、私は書き始め、あなたは読み始める。お互いに古代のローマ人
 はどういう人たちであったのか、という思いを共有しながら。」

この前書きを読んで、読み進めない人はいないのではないかと思うくらいの文章だ。
また、僕は読み始めようと思う。同じ道をたどるのではない。もう通った道であるから、
2度目に通るときはまた違う事を吸収できるに違いない。前回通ったときは結局読む事が
目的となってしまったが、この前書きを読んで、読者の思いを再確認できた。

そう。「なぜローマ人だけが」がこの大シリーズ通しての一番の問いであるのだ。

前書きにあるように、彼女は書き始め、僕は読み始める。古代ローマ人に思いを
はせながら。この問に少しずつ取り組んでいこう。

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