LXXI-th stone: 科学は"科楽"だ
「科学は"科楽"だ!」
これはかの有名なサイエンスプロデューサー米村でんじろう先生の言葉だ。
今日、ふとテレビをつけるとでんじろう先生のドキュメント番組を放映していた。米村先生のこれまでの実験ショーでは先生が教師時代に蓄積した実験をアレンジしながらこの10年間みんなに見せてきたが、今では忙しく仕事に追われる毎日で、新しいアイデアもなかなか出ないという。しかも昔のように身の回りに科学の楽しみがあふれているという事がなくなったという。そういう先生の苦悩を伝えていた。
その中で、先生が富山の講演でみせた蓄音機の実験に見せられた少年がいた。その蓄音機はレコード盤としてボール紙、レコード針としてカッターの刃、スピーカーとして紙コップを使った簡単なものだった。原理は誰でもわかる。しかし少年が見よう見まねで作っても、音はならなかった。その後半年, その蓄音機に見せられた少年は来る日も来る日も蓄音機の制作を続けた。どうしてもうまくいかない彼は先生へ質問状を送ったのだった。が、彼が受け取った先生からの返答は、なにかが刻まれたボール紙と、蓄音機の心臓部であるカッターと紙コップが繋がった部分であった。先生の工夫のつまった心臓部を受け取った彼は穴の開くほどその工夫を学ぼうと見続けた。そんなある日。彼が「こんにちは」を連呼しボール紙に録音していた時、スピーカーからかすかに「こんにちは」が聞こえたのだった!それが聞こえるまで半年以上。彼の根気強さには頭があがらない。
彼との交流を通じてでんじろう先生も彼から科学を楽しむということを思い出せたようである。新たなアイデアをもりこんだ実験の種が生まれたという事だ。
このテレビ番組を通して、私もとても勇気づけられた。最近私も研究を「楽しむ」という事を少し忘れていたようである。このでんじろう先生の「科学は"科楽"だ!」という言葉と蓄音機の少年のガッツをもらって、僕もこれから楽しもうと思う。
関連URL:
NHK にんげんドキュメント
http://http://www.nhk.or.jp/ningen/