LXVIII-th stone: ボランティア
昨日、名古屋近郊で現在行われている愛・地球博のボランティア活動に参加してきた。これはこの愛・地球博が21世紀最初の万博であって、これからの21世紀に置ける社会構造において、「市民活動」という物の影響力が大きくなるという観点からの企画であると、私は思っている。それが証拠に今回の万博は会場が二つ、長久手会場と瀬戸会場である。この二つはロープウェイやバスでつながっているのだが、長久手会場は日本企業や世界各国のパビリオンが並ぶ正しく世界万国博覧会の会場、そして瀬戸会場では、幾多の市民グループがいろいろの企画を練ってイベントやシンポジウムを行っている。このように一つの会場を「市民活動」に割り当てる万博が前世紀にあっただろうか。これは「市民活動」の重要性、社会に対する貢献度の大きさを示す物だろう。
前置きはこのくらいにして、私はこの21世紀に置ける「市民活動」の重要性に注目している為というのもあるが、私自身の希望もあり、去年友人とともに「万博ボランティア」に応募した。
今回担当したのは「サービス巡回活動」と呼ばれるものだ。3、4人がグループとなって担当エリア内を巡回し、困っている来場者への対応、来場者からの質問等を受け付ける仕事だ。今回巡回していて、最も多かった質問は何だと思うだろうか。こういう場合、「自分が解答を用意している質問はこない」というのが定説だろうか。今回もそうであった。私個人としては「トイレはどこ?」というのが一番多いのではないかと予想していた。が、しかしだ。一番多かったのは、「ペットボトル入りのドリンクはどこで売っていますか?」だった。これには驚かされた。今回の万博には物を持ち込む際の規則が非常に細かく設定されている。開催当初は手作りのお弁当等は持ち込み禁止だった。これは開催後、手作りのお弁当であれば持ち込み可になったようだ。が、以前ペットボトルは持ち込む禁止となっているのだ。
理由はわからないが、万博協会という万博を主催する団体が愛知県警へゴミの持ち込みに関する規則を届け出た際に、愛知県警からペットボトルの持ち込みを禁止されたようなのだ。この根拠は私には分かり兼ねるが、とにかくペットボトルは会場内で買うしかない。しかも、会場には圧倒的に紙カップ入りのドリンクが多く販売されている。これから本格的に夏になるのに、これではいかがなものかと思う。
という事で、今回一番多かった質問には少々驚きだったが納得だった。
今回、もう一つ楽しかった事。私の仕事は8:30--14:00までだったが、その巡回途中常に質問されっぱなしという訳ではない。グループで同じになった人たちと、この出会いに感謝しながら様々な話をした。その中で印象深かったのは「生物学者になりたい」と決めている高校1年生の少女と話をしたことだ。高校一年生ではあるが、はっきり自分の進みたい道を決めて進んでいる。彼女は「不思議な事を観察しているのが好き」だといっていた。私もそうだ。何かを不思議に思い、その不思議に触れているだけで楽しい。私は、自分にも彼女にも言うつもりで「研究者は不思議をみて楽しんでいるだけではダメだ。何が、不思議なことで、それに理由付けをしたり解明したりしなくてはいけない。不思議(問題)に出会って、それを解決(解いて)しての繰り返しじゃないと。」と。彼女も納得していたが、自分で言っていて自分に対しての警告のような物でもあった。
研究者として歩む事を決めた以上、研究課題の設定も大切だが、常に「何が不思議で、何を明らかにしたいか。」そして「常に何かを明らかにしつづける」事を念頭に置きつつ研究に邁進すべきであると再確認させられた1日だった。
足は棒のようになったが非常に有意義な一日だったと思う。