今週の水曜、私のiBookが突然動かなくなった。
私はiBookをケースにいれ、それを自分のリュックにいれて持ち運んでいるのだが、自慢ではないが
扱いは丁寧とは言いがたい。車に乗り込むときなど、運転席のドアをあけたままリュックを助手席の
ほうまで放り投げるのが常となっていた。
そんな水曜日、私はいつものようにスターバックスでコーヒー片手にiBookで作業をしていて、
学校へ行く用事があったので、iBookを閉じて学校へむかった。もちろんその時もいつもどうり
iBookはリュックに入っていたものの、助手席へ放り投げられたのだった。学校について、用事を
済ませようと、iBookを開いた時画面にはマウスポインタが表示されていなかった。いつものごとく
sleepモードから復帰が遅いだけかとおもってタッチパッドをあっちこっち擦ってみるが反応がない。
いろいろキーボードのボタンを押してみるものの無反応。
固まっているっぽい。いわゆるフリーズというやつだ。しょうがないのでハードウェアリセットをしようと
おもむろに電源ボタンに手を伸ばし、おしっぱなしにする。通常通り電源は落ち、もういちど電源をいれるとファンの音とともにiBookは起動し始めた。まだこの時点では僕はこれからおきる惨事を予想もして
いなかった。
通常iBookの電源をいれると、
1.グレーの画面の中心にりんごのマークが現れりんごマークのしたで、ディスクのような図が回転する。
2.ブルーの画面に変わり、中心にMac OS Xのロゴが現れ「Mac OSを起動しています」とメッセージがでる。
3.その後、ログイン画面がでる。
という画面遷移を経るのだが、そのときにはstep 2に移行したときにMac OS Xのロゴが現れずブルーの画面でとまってしまうのだ。その時点ではハードディスクも動作している様子はなかった。僕の全身から血の気が引いていく音が自分で聞こえるくらいだった。なぜなら故障の主原因は日ごろから乱暴に扱っている自分自身にあり、そのダメージが一番現れるのはハードディスクだと確信していたからだ。その上、僕はバックアップを取るという習慣がまったくない。今、このハードディスクに逝かれたら一巻の終わりだ。一瞬頭が真っ白になった。
すぐに近くにあった研究室のマシンでgoogleを開き、とにかくハードディスクが壊れていないことだけでも確認したいと思い、シングルユーザモードで起動してみる。するとシステムはsingle-userモードで起動してきた。シングルユーザモードとは管理者特権をもちログインする必要のないユーザでシステムを管理できるモードである。システムがあがってくるということは、ハードディスクからのデータ読み込みは問題ない。ここで、ひとまず安心できた。なんといったってハードディスクが壊れていないのならばなんらかの
方法でデータは移動できるからだ。最終手段としてはiBookを解体してでもハードディスクをほかのマシンに接続してデータを以降する覚悟ではあった。後にその必要はなかったのでよかったが。
まずはfsck -fy でファイルシステムの修復をこころみる。エラーがでるとおもいきや、なんのエラーもなく終了してしまった。????なぜだ??ハードディスクにエラーはまったくない。システムのブートも問題なくできている。なぜだ?なぜだ?
もう私には手がおえなかった。システムがハードディスクから読み込め、ファイルシステムにもエラーは見当たらない。通常の使用をしているだけでシステムファイルの内容が変わってしまうということは万が一にも考えにくい。が、しかしその時の僕には疑えるのはそれしかなかった。ハードディスクは問題なく動作するからMac OS Xの起動ディスクをつかってOSだけ再インストールしようと試みたのだった。
スロットローディングのCD-ROMドライブにTigerのディスクをいれてブートしてみる。が、しかし、やはりstep 2でうんともすんともいわない。すました青い画面で僕を冷たく見ている。この時点で僕は思った。
僕の手にはおえないな。と。なにか僕の知らないところで故障しているのだと。その足で僕はMac OSをケースにいれ、そのケースをリュックにいれ、その時は助手席に放り投げることなく車をapple storeへ走らせた。
appleストアには直営のサポートデスクgenius barがある。そのお兄さんに事の起こりからこれまでを話すと、あわてることなく、めずらしいですね。確認してみましょう。といろいろやってみてくれた。
いやぁ、やはりapple storeのお兄さんはいろいろ知っている。iBookにあれだけ裏機能があるとは思いもよらなかった。一番驚いたのはターミナルモード(?だったような?)。これはiBook間をFireWireで接続するとほかのマシンをつかって、そのマシンのディスクを起動できるのだ。iBook AとiBook BをまずFireWireケーブルでつなぐ。まずiBook Bをアップルキーと「T」キーを押しながら起動する。次にiBook Aはアップルキーを押しながら起動すると起動ディスクを選んで起動するモードになる。iBook AにはiBook Bのハードディスクが表示されるのでそれをクリックして起動すると、iBook Aの画面でiBook Bのハードディスクにインストールされているシステムが起動できるのだ。これを用いてgenius barのiBookから僕のiBookのシステムを起動してみる。すると。。。正常に立ち上がったのだ!!
これを見てお兄さんは一言。「あ~ロジックボードですねぇ」と。すかさず僕は「シングルユーザモードではシステムが起動できるんですよ?」と。お兄さんも「う~ん。これは珍しい現象ですね。しかしCDからもブートできないとなると。ログインするまえにハードウェアのチェックのフェーズがあってそこで停止しているかもしれませんね。」。ん~なるほど。シングルモードじゃなくて通常の時のハードウェアチェックでどこか故障しているらしい。こうなると、もう修理に出すしかない。
そこで気になるのが、データだ。ハードディスクは問題ないのだから何とか助けたいと申し出たところ、genius barのiBookに僕のiBookを接続してみたところ、通常どおり外付けHDDとして表示されたので、メディアさえあれば今ここでバックアップとっていただいてかまわないと快く承知してくれた。その後DVD二枚分のデータをバックアップし、僕のiBookは修理工場へと旅立っていった。
現在、僕はiBookと離れ、研究室で所有しているLet's Noteを臨時で使わせてもらっている。
iBookが帰ってくる予定日は11月5日頃だ。修理費45000円の請求書と共に。。。
今回の一件でバックアップの重要性に気づいた。というわけではない。今までにも十分気づいてはいたが実行はしていなかった。が、今回の一件で重要なデータの扱いは慎重に、かつバックアップを次からは取ろうと決意できた。
私はiBookが初めてのノートパソコンだったが、非常に中毒性が高いことも同時に知ることができた。ノートパソコンを持つと、いつでもどこでも作業ができ、ネットもメールもできるのだ。中毒になるのも無理はないかもしれない。そこまで便利だということだ。便利さがいつも続くと大切さを忘れてしまいがちだが、この便利さの大切さを再確認させられた出来事だった。